合格祈願、選挙、開運、家内安全、商売繁盛・・・縁起物の「だるま」は至る所で見かけますね。
でも、「実際に自分では持ったことがない!」「ダルマについてあまり知らない!」という方は少なくないでしょう。
そんなダルマを調べてみると実は意外に奥が深くて面白かった!
この記事では、ダルマについて「目の入れ方や順番は?」や「置くと縁起が良い方角は?」「願いが叶った後は?」「何を使って目を書くのか?」「由来は?」などの基本情報に加え、「全国のだるま」を紹介しています。
今まで触れる機会のなかったダルマだけど、今年度受験で、または、開運や商売繁盛にダルマに願掛けをしてみようと思っている方は、宜しければぜひ参考にしてみて下さい。
だるまの目の入れ方(開眼)について
ダルマは目の部分が空白になっています。
人々は、それぞれの願いが叶うようにと「願掛け」してダルマの「片目だけ」に目を書き入れます。
これを【開眼】と呼びます。
そして、
祈願が叶ったら、まだ書いていない「空白の目」の方に目を書き入れます。
これを【満願】と呼びます。
だるまの目の入れ方で、左右どっちを先に入れるのかは、「地域の違い」や「願う目的の違い」などによって言われは様々です。
例えば、群馬県の「高崎だるま」の場合だと、「まず左目を入れて、願いが叶ったら右目を入れる」開眼が一般的です。
しかし、神奈川県の「相州だるま」の場合は、基本的には同じ目の入れ方ですが、選挙と時にはその逆で「最初に右目を入れて、当選したら左目をいれる!」というような風習があります。
また、合格祈願や就職祈願の場合には「右目を入れておいて、成就したら左目を入れる!」という地域もあります。
さらに、商売繁盛や金運アップ、学業成就、交通安全、家内安全、健康祈願、安産祈願、縁結び、厄除祈願の場合には「始めから両目に(右目にも左目にも)入れる!」というような地域などもあります。
このように、「ダルマの目をどっちから入れるのか?」は、それぞれの地域や風習の違い、目的の違いなどにより様々です。
一般的には、「願掛けをしながら左目だけ目に入れて、願いが成就したら右目にも目を入れる」という入れ方が多いようです。
ちなみに、
ダルマの左目は「阿(あ)」=(物事の始まり)、右目は「吽(うん)」=(終わりを表している)を意味しているという説や、左目から目を入れるのは「陰陽五行」が由来によるものという説もあります。
ダルマの目の入れ方(開眼)

(左目に入れる場合は、「向かって右側」になるので間違えないように注意して下さいね。)

ダルマの目はマジックでかいてもいい?
ダルマの目を書く時には、一般的には筆と墨を使って描きます。
(*墨で書き入れる場合は、墨が垂れ易いので注意してくださいね!)
しかし、筆と墨がないという場合や、筆で書くのは「失敗しそう!」「難しそう!」という場合は…
特に、「油性のマジックペン」や「筆ペン」は、書きやすく、墨垂れの失敗もないのでオススメです。
だるまを置く方角/位置はどっち?
ダルマは縁起物なので、折角なら少しでもベストな状態にしてご利益を頂戴したいと思うものですよね。
「だるまを置く位置/方角」についてはけっこう気になるところでしょう。
「ダルマを置く位置や方角、場所に決まりはあるのか?」というと、これも、ダルマの目の入れ方のように、地域などの違いで考え方が色々あるので、統一された決まりはありません。
しかし、多くの場合は、以下の「2つの方角」に向けて置くと良いと言われています。
だるまを置くベストな方角/位置…【南向き説】
陰陽五行説との関わりがあると考える場合、古来より赤色は「魔除け」の効果があると信じられていたことから、だるまの赤色は「火」を表しています。
そして、陰陽五行では、「火」は「南の方角」を示します。
そのため、「ダルマの正面を南向き」に置くと良いと言われています。
ちなみに、「東から生まれ、西で無くなる」という陰陽五行説の考えからすると、
「ダルマの正面を南向き」に置いた時に、ダルマの目の左目は東、右目は西の方角になります。
一説では、一般的なダルマの目の入れ方で、「左目から入れて、右目を入れる」というのは、だるまの正面を南に向けた時、左目が東、右目が西の方角を示すことに由来しているとも言われています。
だから、「南向き」に置くのが良いということなのでしょう。
だるまを置くベストな方角/位置…【東向き説】
また、昔は神棚に飾られていたということから「東向き」も良い方角と言われることもあります。
どちらの方角/方向に向けて置くのかや置く場所についても決まりはありませんが、出来れば、いつも目にする良く見える場所に置くことで、「いつの間にか願いを忘れてしまった!」なんてことを防ぐことができます。
特に合格祈願などの場合は、ダルマを見ることにより、自分の目標を常に意識し、また再確認できます。
しんどくなってサボりたくなった時に、願いを込めて入れた片目を見て「改めて頑張らないと!」と気持ちが引き締まる。
ダルマをいつも見えるところに置いておくことで、自分に“カツ”(活)(勝)を入れる効果も期待できます。
それから、以下の2点もお忘れなく!
だるまの目入れその後は?
だるまに目入れをして開眼した後、無事に願いが叶ったら(満願)、その後はどうするかといと…
「願いが叶ったら…」(満願)
①願いが叶ったら、書かなかったもう片方の目を入れます。(満願)
②祈願が達成されたダルマさんは、購入した神社やドン土焼きで燃やしてもらいます。
だるまのご利益は、お守りなどと同じように基本1年と言われています。
一般的にはお正月に新しいものを購入すると同時に古いものを燃やすというのが多いみたいです。
願いが成就したら、次は一回り大きいダルマを買うと良いということも言われています。
ちなみに、残念ながら…
「願いが成就しなかったら・・・」
成就していないダルマを焼いてもらう場合、片目のままで焼いてもらう人もいますし、見通しが良くなるようにと願いを込めて、空いている方の目に少し「小さな目」を入れて焼いてもらうという方もいるようです。
「まだ願いが叶っていないけど1年が過ぎたという時はどうすればいいの?」と言う場合は、自分がどのようにしたいかで決めている方が多いようです。
成就するまで手元に残しておきたいので無理に焼いてしまわないという方もいますし、気持ちを一新したいので焼いてもらい、新しいダルマを購入するという方もいます。

こちらに関しても正式な決まりはないので、それぞれの納得するやり方で決めて良さそうです。
だるまの由来
縁起の良い置物として人気の高い「だるま」の由来は、中国仏教の禅宗開祖とされるインド人仏教僧の「達磨大師」が座禅をしている姿をモチーフに置物にしたものと言われています。
達磨大師は、9年間も座禅を組んで修行を行ったと言われています。
「だるま」に手足が無いのは、長期間の座禅により達磨大師の手足が腐ってなくなってしまったという説もあれば、座禅をしている時の手足は法衣で見えないので簡略化されて丸くなっていったという説もあるようです。
達磨大使
だるまは、日本人にとても馴染み深い民芸品です。
倒しても何度も起き上がってくる「起き上がりこぼし」と達磨大師の座禅の姿が融合し、「七転び八起き」の意味もあるとして、無病息災や家内安全はもちろん、祝い事や記念行事、選挙当選、合格祈願などの縁起担ぎとして愛されている置物です。
だるまの多くは、赤色の張子で作られています。
古来より赤色には、「魔除け」の効果があると信じられていたことから赤が使われるようになったという説があります。
また、赤と合わせると縁起が良いということで、白いだるまも好まれて作られるようになりました。近年では、紅白のダルマだけでなく、お部屋のイメージや自分の好みに合うような、また、風水を意識したような色とりどりのダルマがたくさんあります。
【全国の「だるま」の種類】
松川だるま【仙台】
「松川だるま」は仙台で作られており、元々は仙台藩士であった松川豊之進が創始者であると言われています。
「 青いだるま」として全国的に有名で、顔の周囲は、海をイメージした濃い青色で彩色されており、太い眉毛が特徴です。
後ろは赤で、お腹の辺りには、福の神や宝船、松竹梅など縁起の良い絵が施されています。
材料には地元の柳生和紙を使用していて、古くから仙台の人々に親しまれてきた縁起物です。
白河だるま【福島県】
福島県の白河だるまの特徴は、ダルマのお顔全体で吉祥をみごとに模様化しているところです。
まゆは<鶴>、ひげは<亀>、あごひげは<松>、びんひげは<梅>、かおの下には<竹>を表現しています。
高崎だるま【群馬県】
群馬県には、だるまの生産店がおよそ50店舗ほどあり、特に、高崎市豊岡・八幡地域は、張り子のだるまづくりが盛んな地域です。
また、群馬県は養蚕が盛んな地域でもあります。
蚕が古い殻を割って出てくることを「起きる」といいますが、 蚕は繭を作るまでに4回脱皮しますので、養蚕農家では、七転び八起きで縁起の良いダルマを守り神として大切にしてきたという歴史があります。
高崎だるまは、時代の流れと共にその姿を変化させてきました。最初の頃は「坐禅だるま」で、頭と胴の間がくびれ、人間に近い形をしているのが特徴でしたが、養蚕の発展と共に、繭の形に似せた「繭型だるま」に変形し、養蚕農家の守り神として崇められるようになりました。
その後も変化を続け、起き上がりやすいよう、全体に丸みを帯びた形に変わり、現在の高崎だるまは、ずんぐりとした丸い形をしています。
高崎だるまの特徴は、眉毛は「鶴」、鼻から口ヒゲは「亀」とだるまの顔にめでたさを表現しているところです。
高崎だるまは、 別名「福だるま」「縁起だるま」とも呼ばれ親しまれています。
東京だるま・多摩だるま【東京】
東京だるまは「多摩だるま」とも言われることがあり、東京都西部で生産されているダルマのことです。
養蚕農家が多かった時代に、豊作や無病息災を願って飾られていました。
近年は、赤色や白だけでなく、金や銀、その他色々な色のダルマが生産されています。
合格祈願のだるまも人気があり沢山生産されています。
高崎だるまの多くの特徴は、群馬県の高崎だるまに比べて毛の量が少なく、少しあっさりとしたお顔のだるまであることです。
越谷だるま【埼玉県】
埼玉県で作られている越谷だるまは、昔、「だる吉」という人形師が、従来あった“起上り小法師”というおもちゃに、座禅を組んだ達磨大師の姿をとり入れて作ったと言われています。
越谷だるまの特徴は、通常のだるまに比べて、色が白く、鼻が高い上品なお顔にあります。
また、「越谷だるま」は家内生産のため、その家々の個性・特徴に微妙な違いがあるのも特徴の一つです。
越谷で造られるだるまは、 埼玉県知事指定伝統的手工芸品に指定されており、[必勝だるま][開運だるま]として、福招きや、商売繁盛、合格祈願、大願成就などの縁起物として全国に出荷されています。
相州(そうしゅう)だるま【神奈川県】
神奈川県の「相州(そうしゅう)だるま」は、以前は東京都の多摩よりだるまを仕入れて販売を行っていましたが、後に多摩から技法を教わって独自でつくり始めたのが「相州だるま」の起源です。
相州だるまの表情は、恐さの中にも、和やかさが感じられ、親しみのある雰囲気を持ち合わせています。
赤い衣に丁寧に描かれた豪華な模様が特徴です。
金目でヒゲ付きのだるまも製造していますが、これは全国でもめずらしいだるまの一つ。非常に手間がかかるため、製造個数も限られています。
以前の相州だるまは、家内生産であった為、それぞれの家の型があり、同じ相州だるまでも、形状や大きさがまちまちの統一されていないものでした。
そこで、相州だるまの品質向上のために規格を統一に努め、「相州だるま」は「高級だるま」としての地位を確立しました。
しかし現在は、相州ダルマの職人さんの高齢化と後継者不足で相州だるま伝統の継承が危ぶまれています。
まとめ
だるまについて色々とご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?全国各地で色々な種類のだるまがあり、地域によってそれぞれ特徴の違いがあって面白いですね。
ダルマは、出来れば現地に行って実際に実物を見ると大きさや相性を確認できていいのですが、なかなか現地まで買いに行けないという方はネットでも購入可能です。
1月にだるま市が開催される地域も多いので、次回はだるま市について取り上げてみたいと思います。
参考になれば幸いです。
だるまイラスト出典:「来夢来人」さんを活用させて頂きました。
ありがとうございました。
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